企救心理相談室店主の日記

日記、ラジオで聞いた話、メモなどです。

石牟礼道子さん

本日『苦海浄土』を読み終えました。

私が購読している毎日新聞には西部本社学芸グループに米本浩二さんという記者がいて、石牟礼さんのことについて月に1回くらい連載で記事にされています。
亡くなられた後に再放送されたETV特集も見ました。

調べてみたら天草のご出身ということもわかって、島原出身の私は余計崇敬の念を強くしています。

内田樹さんは「「ヴァナキュラー(「その土地特有の、お国言葉の、自国語[現地語]で表された[書かれた])な言語表現の範例」として挙げたのは石牟礼道子『苦界浄土』、宮本常一土佐源氏』、橋本治桃尻娘』でした。」(2015/1/8 Twitterとして取り上げていました。
苦海浄土』は方言がわかりにくいと書いている人もありますが、話し言葉じゃないと「上から目線」になったことでしょう。

石牟礼さんの資質は「悶え神」と称されています。
悶え神とは「他人の苦しみを見ておれない性分の人間」(渡辺京二熊本県教育委員会HP)とのことだそうです。
マスコミアレルギーの強い水俣病患者のお家の中にまで入っていって患者の信頼を得られたこと、患者の心の中を我がことのように感じて言葉で表現していった様はまさに悶え神のなせるわざです。


このことから心理臨床家たるわたくしは大いに影響を受けました。
苦しさから逃れたくて、つい患者と距離を取りがちになってましたから。

私自身が悶え神になるよう求められているのでしょう。
少しでも石牟礼さんに近づいていけますように。
他人の不幸をわがことのように感じ
水俣では、他人の不幸をわがことのように感じ、なんとかしたいと悶える心性の持ち主をそう呼ぶ。
学芸グループ
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